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「彼女を好きになる12の方法」感想

 入間人間の「彼女を好きになる12の方法」を読みました。適度にネタバレしつつ感想を。






 入間人間は過去に「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」を読んでいて、歪んだ形で表現された愛と依存が良いなあと思っていたのですが、今作はびっくりするくらいのいちゃらぶです。
 登場人物は「俺」「彼女」「僕」の三人。「俺」は「彼女」に対して「正直好きではないと思っている」のですが、その「彼女」と実際は大半の時間を一緒に過ごしていることの理由を求めるために「なんとなく、好きでないといけないような気がした」。そして「俺」はどうにかして彼女を好きになろうとする、というのが本編の半分の俺+彼女パート。
 そしてもう半分は、「彼女」に一目惚れして以来彼女を愛してやまない「僕」がなんとかしてその想いを伝えようと煩悶する、という僕パートとなっており、これらの2つが対比的に交互に書かれるという構成になっています。

 特徴的なのは、俺+彼女パートでは好きにならなければいけないとか一緒にいる理由がどうとかうだうだいいつつ、傍から見ればどうみても付き合っていちゃらぶしているという幸せな様子が書かれているのに対し、僕パートでは彼女に近づくもものの見事に拒絶され、挙句その後ははっきりと避けられて相手にもされず、目の前で「俺」と「彼女」の幸せな様子を見せつけられ続けるという「僕」のただただ沈鬱な様子だけが書かれているという点です。ストーリーの中で、同じ人物の幸福と不幸を経時的に表現してカタルシスを感じさせるというのはありがちですが、本作のように徹頭徹尾幸せなキャラクターと不幸なキャラクターを配置することで幸福と不幸のギャップを示すというのはなかなか面白いですね。

 おそらくこの本、読み手の性質によって評価が綺麗に分かれると思います。
 「僕」に感情移入してしまう人は、ひたすら想い人が恋人と仲良くしている様子を見せつけられて何も出来ない惨めな「僕」を見て良い気分にはならないでしょうし、逆にそうではない人なら「俺」と「彼女」の甘々な関係に悶え転がるでしょうから。(ただ「僕」サイドにも「俺+彼女」サイドにも何も感じない人にとっては本作は非常に退屈かもしれません)
 僕は圧倒的後者だったので、ひたすら二人のラブラブしい様子を見てごろごろしてました。お前ら早く結婚しちゃえよ。
 手を繋いでみたり、一緒に食材を買いに行って家ですき焼きを食べたり、唐突に告白してみたり、部屋で野球ゲームからのキャッチボールをしてみたり、暑いからとビニールプールに一緒に入ったり、大学構内で一緒に漫画を読んだり、二人でお祭りに行って「これってデート?」「じゃあ、デートで」という会話を交わしてみたり……これだけやっておいて「彼女を好きにならなければならない」とか抜かしているのは本当にお前は何を言っているんだとしか言いようがありません。それだけ自然に一緒にいられて、なおかつ「彼女」といるとき、「俺」は一番笑顔になれるというのですから、もうそれで十分じゃないですか。理由とかどうでもいいじゃないですか。
 僕は恋愛において「その人といる時が一番楽しければ他は何もいらない」という信条を持っているので、それ以上何を望むんだよ!と終始心のなかで叫び続けていました。そもそも第一章のタイトルが「ないものねだり」な時点でそんなことは自明なんですけどね。

 でもそんな「理由」に固執し続ける「俺」に彼女はこう言うのです。


 「それは、わたしの一番嫌いなことね」
 「なんで好き? とか聞かれるのも、どこが好き? とかも最悪」

 「だって理由を好きになったわけじゃないの。わたしはっ、ほら……



 そしてその言葉の続きを待つ「俺」に対して

 「きみ、わたしと付き合いなさい」
 「ちゃっちゃと好きにしてあげるから。それでいいんでしょ?」


 

 うわあああああああ!!


 もうこの辺りで僕は糖分過剰摂取で死ぬかと思いました。お前らまだ付き合ってなかったのかよとかそういうことがどうでもよくなるこの甘さです。
 実はこの「告白」以降待ってましたとばかりに二人のラヴっぷりは加速するのですが、文章に起こすのも困難な甘さだったので割愛させて頂きます。ご自分の目で確かめて萌え死んでください。

 こんな状態になりつつも、「俺」は本編の最後で「彼女とはこれで二年間も一緒にいるのだが、しかしその理由を改めて考えてみるとなにも思いつかないことに気づかされる」とのたまっております。ダメだこいつ何も変わってねえ。
 それでも「彼女がずっと側にいるのなら、永遠にそれを探そうとするのも悪くない」と謎の前向きさを発揮して自己完結しているあたりがさすがというか、うだうだ考えるまでもなく幸せも愛も最初からそこにあったよねという気しかしませんね。


 ところでこの小説、背表紙には

 好きといえない、いつも空回りするあなたに。



 という文言が書かれています。
 これって、立場的には「僕」の側の話なんですよね。ですがいざこの文言に釣られて読んでみると、好きといえないどころか徹底的に拒絶され疎外される「僕」サイドに引きずり込まれるのです。こういうエグさが入間人間らしいなあと思いますね。

 しかし、蜂蜜たっぷりの甘い関係が大好きな僕にとってはこの本は最高でした。いやあ入間人間と聞いて予想したものと全然違う方向でびっくりしたのですが、甘々好きかつ「僕」に感情移入しない自信のある方にはオススメです。僕もこんな恋愛したい(結論)

2012年12月02日 感想 トラックバック:0 コメント:0

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